データサイエンティスト協会では、2024年に学生向けにデータサイエンティストに関するアンケート調査を実施いたしました。今回は、学生の生成AIの認知、利用状況について考察します。
大学生向け「データサイエンティスト」に関する調査結果を発表:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-3976/
生成AIブームのきっかけとなった「ChatGPT」が2022年11月に公開されてから、約1年後の2023年12月に生成AIの認知、利用状況について調査をしました。その結果、生成AIの利用率は29%となっていました。また、生成AIを知らない学生は25%となっていました。それから1年が経過し、今回も同様にアンケート調査を実施いたしました。
その結果、生成AIの利用率は29%→47%と、20ポイント近く上昇しました。生成AIが登場して、約1年で29%、さらに1年後には47%と、学生の間でも急速な拡がりを見せていることが分かりました。学年別では大学1年生での利用が最も高く53%(前回36%)、学年が上がるにつれて利用率は下がる傾向となり、大学4年生での利用率は39%(同23%)と最も低くなります。なお、修士・博士課程の利用率は52%(同35%)と高めとなっております。また文系学生でも43%(同29%)、理系学生は57%(同31%)となっており、学年・文系理系問わずどの学生層でも20ポイント前後の利用率の伸びが確認できました。
一方で、「生成AIを知らない」という学生は14%まで減少しており、大学1年生では5%、理系学生では9%となっており、利用の拡がりはもちろんのこと、認知も拡がっていることが確認できました。
利用率はこの1年で大幅に上昇しましたが、その活用シーンはこの1年でどのように変化しているのでしょうか。
学業で使ったことがあるのは72%で前回の68%から4ポイント増、一方プライベートで使ったことがあるのは49%で前回の52%から3ポイント減となっております。活用シーンでの大きな変化は見られておりません。では、その学業でどのようなシーンで使っていたのかがこちらの結果となります。
活用シーンの上位は、「論文や教科書の要約」が最も高く45%、次いで「レポートや論文の作成、添削」の38%となっています。前回と上位の順位は変わっていませんが、「論文や教科書の要約」は5ポイント増となっており活用シーンとしての拡がりが確認できます。また「テスト問題や宿題の解答補助」も活用シーンとして上昇しています。一方で「アイデア出し」は前回から大きく減少し25%となっています。レポート、論文、宿題といった講義や研究において欠かすことのできない部分への生成AIの活用が目立つ結果となりました。
公開から1年ほどの時点ではまだ多くの大学生に浸透はしていない状況でありましたが、この1年で多くの大学生に浸透している状況が確認できました。ただし、その活用シーンに大きな変化は見られず、講義や研究において欠かせないレポートや論文での活用が多い結果となりました。今後さらに大学生において生成AIの浸透が想定されますが、進化し続けている生成AIの学業における活用シーンも進化に合わせて変化するのか、もしくは現状同様のシーンでの活用に留まるのか、引き続き動向調査を実施したいと思います。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社金融エンジニアリング・グループ 塩谷周久氏
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