2024.08.20
Data of Data Scientist シリーズ vol.57『日本:7.6%、アメリカ:37.4% - 所属企業にDSの専門組織がある割合』
データサイエンティスト協会では、一般ビジネスパーソン向けのアンケートを実施しており、2023年度は日本とアメリカでアンケートを実施しました。今回は「所属企業にデータサイエンスの専門組織の有無」を切り口にして調査結果について考察します。
一般ビジネスパーソン向け2023年調査結果:https://www.datascientist.or.jp/common/docs/Research_20230912.pdf
2023年度の一般ビジネスパーソン向けアンケートにおいて、「あなたがお勤めの会社では、「データサイエンス」に関する専門の部署やチームがありますか。」の設問の回答を日米それぞれで集計すると、「存在している」と回答した割合は日本では7.6%に対し、アメリカでは37.4%で大きな差がある結果でした。「よくわからない」と回答した割合は日本では35.3%に対しアメリカでは21.3%、こちらは日本の方が多い結果となりました。この結果から、日本の場合は、企業にデータサイエンスの専門組織が少ない、もしくは、データサイエンスの専門性が全社的な把握をされていないと推測されます。
業種別に見ると、どの業種においても、データサイエンスに関する部署が存在する割合がアメリカの方が多いことがわかります。特に、IT・通信、製造(化学/製薬/食品)、金融・保険の業種で多くなっています。これらの業種においては、日本でも他の業種よりは多いものの、アメリカに比べると低いことがわかります。
この違いについて、他のアンケート回答から深掘りします。
まず、一般ビジネスパーソンのデータサイエンティストの認知度をみると、日本の場合は、知らない割合が53.6%と高いのに対し、アメリカでは11.0%であり、ほとんどのビジネスパーソンが名前は聞いたことある以上の認知度があります。日米のデータサイエンティストの認知度の差が大きいことがわかります。
データサイエンティストを知らないことから、所属企業にデータサイエンスの専門組織があるかどうか分からない、データサイエンスの専門組織の必要性が分からないとなる人がいると推測されます。これにより、専門組織が設立されない、専門組織があっても興味を持たれないことから、日本の一般ビジネスパーソンでの回答が低いと推測されます。この改善のためには、一般ビジネスパーソンに対するデータサイエンティストの認知度向上に向けて広報活動を引き続き実施することが必要であると考えます。
次に、一般(個人)会員のアンケート※と比較します。このアンケートはデータサイエンティストの人が回答したアンケートです。
一般(個人)会員向け2023年調査結果:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-2809/
データサイエンティストとして働いている人の場合、所属企業にデータサイエンスの専門部署があると回答した割合は、IT・通信では55%、製造では52%、金融・保険では42%となっていました。一般ビジネスパーソンの回答結果と比べて、専門部署があると回答した割合は高いものの、アメリカにおける同じ業種の一般ビジネスパーソンでの割合の方が高い結果でした。
データサイエンティストが働いている日本の企業よりも、IT・通信や金融・保険などでは、アメリカの一般企業の方がデータサイエンスの専門組織の存在する割合が高いと考えられます。日本の場合は、データサイエンティストがいても、専門組織がある割合が非常に少ないと考えられます。
以上のことから、日本の企業において、データサイエンスに関する専門組織が少ない理由としては、
・一般ビジネスパーソンのデータサイエンティストの認知度が低い
・データサイエンティストがいても、専門組織まで存在していない
ことが考えられます。
これらのことから、一般ビジネスパーソンに対するデータサイエンティストの認知度向上に向けて広報活動を引き続き実施することが必要であり、それに加え、データサイエンスの専門組織に対する企業側の意識を変えることも必要と考えます。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
日本電気株式会社 田中智規
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