データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第四弾の後編は、引き続き株式会社りそなホールディングスのデータサイエンス部のデータサイエンティスト、福井慎二郎さんにお話を伺います。
−社内の雰囲気についてお伺いします。職場はどのような雰囲気ですか。
福井さん: 案件で困った時など、お互いに質問しあえる良い環境です。逆に案件が順調であれば週に1~2回程度、進捗報告会で話し合うくらいの時もあり、様々な意味で自由度が高く過ごせる環境だと思います。何か問題があれば、いろいろな人が集まってきてワイワイやっている、というイメージです。
−そういう環境ですと、データサイエンティストの経験が浅い方でも孤立せずに活躍できそうという印象を持ちます。
福井さん: そうですね、困った時には上司にすぐ相談できますし、案件を通じて多くの人と繋がりができるので、孤立するイメージはないですね。
フロア内にあるテント空間。「イノベーションは会話の中から」というテーマで既存概念にない職場環境も作られている
−所属されているデータサイエンス部の出身学部や年齢層、人数など構成を教えてください。
福井さん: 分析担当者だけでいうと年齢層は20代後半が多く、データサイエンティストの人数は40名ほどで、部署全体としては60名超が所属しています。
出身の学部は文系6割、理系が3割、文理総合が1割という感じで、文系では経済学部や社会学部の方もおられますし、理系では理工学部や情報学部の方もおられます。今はキャリア採用との割合が半々くらいですが、キャリア採用の割合が増えているので、今後状況は変わってくるかもしれません。
−キャリア採用の方の中にはデータサイエンティスト未経験の方もいらっしゃるのでしょうか。
福井さん: 社内の別の部署で働いていた方が未経験でデータに関わりたいと異動されるケースはありますが、キャリア採用でデータサイエンティスト未経験者が入るということはないと思います。
直接データサイエンス部への配属で採用となると、何かしらデータに関わった経験が期待されていると思います。ただ、経験の年数はそこまで重要視されておらず、どちらかというと意欲重視で採用されている印象です。実際、社会人経験2年目くらいで来られている方もいます。平均年齢が20代後半と比較的若いのも、そのような傾向の現れかと思います。
−データサイエンティスト全体では女性はまだ少数派ですが、部内の男性・女性の構成比はどのような状況ですか。
福井さん: 当社のデータサイエンス部は3〜4割が女性です。他社と比較しても女性の割合が高いのではないかと思います。様々な要因があるかとは思いますが、会社の福利厚生が整っていたり、働く環境の自由度が高かったり、比較的女性にとって働きやすい環境ではないかと感じています。
−分析担当者が40名在籍しているというのは大所帯だなという印象を持ちますが、どのようなスキルの方が多いでしょうか。また重要視されるスキルなどはありますか?
福井さん: そうですね。最近はデータビジュアライズが得意な方、PythonやSASでデータ分析をされる方、あとは生成AIなどの最新技術に取り組んでいる方が増えています。先ほども挙げましたけれど、意欲重視の印象で、必要なスキルをこれからどんどん身につけていける環境ですので、向上心があってコミュニケーション能力が高い方だと活躍できる場所が多くなると思います。現在は、ある分野に特化した人が少ない印象で、だからこそそういった人財が必要とされる場面があるのではないかと思っています。
−部署全体として今後強化していきたいスキルや、これから必要になるであろう分野はありますか。
福井さん: 部署全体としては分からない部分もありますが、非構造化データ系は経験のある人財が少ないので、今後強化していきたいところだと思います。キャリア採用などで外部からの人財による強化だけではなく、当社は従業員のスキルの幅を広げる取り組みにも積極的で、新しいことにどんどん取り組んでいこうという方針です。例えば可視化業務をしている方がPythonを学んでデータ分析業務に手を広げるなど、学びたいことが学べる環境が整っていますし、そこに投資もされていると感じます。
私も個人的に、画像の分野を極めたいという目標とは別に、音声や言語関連のことにも取り組んでいきたいと考えています。
−業務外のコミュニケーションについてもお聞かせいただけますか。
福井さん: 個人的に食事に行くことや、新しい方をお迎えした際には歓迎会があったりはしますが、部署全体としての会はそれほど多くはないと思います。部署毎や個別の交流とは別に、りそなグループ全体として「りそなサークル活動」というものがあり、横のつながりで部署をまたいで趣味を共有することができます。スポーツや旅行など、幅広いジャンルのサークルがありますし、サークル活動の補助金制度もあります。
−データサイエンスと関連するところでの主力商品や事業についてお聞かせください。
福井さん: データサイエンスと関連が深い分野であれば、りそなグループのアプリが挙げられます。りそなグループにはおよそ1,600万人の個人のお客さまの銀行口座がありますが、実際に窓口でお会いできるお客さまはおよそ100万人と言われています。
当社ではアプリ上で金融取引ができる仕組みを2018年からスタートさせており、直近でアプリダウンロード数はりそなグループ外でのご利用も含め1,000万ダウンロードを超えています。既に店頭窓口へお越しになるお客さまの数よりネットで繋がるお客さまの方が多数であるという状況です。アプリの様々なデータを分析し、お客さまに寄り添った提案や価値を、アプリを介して還元するというのがデータサイエンス部としても目指すところです。
−少し踏み込んだ内容になりますが、年収のレンジを教えてくださいますか?
福井さん: 採用サイトにあります通り、 500〜1200万円で、給与は経験、前職の年収などを考慮されて決まります。会社で定められた昇給ランクがあり、年に一度上司と人事部門の評価による昇給の機会があります。
−評価軸はどのようなものがありますか。また、評価はどのように決まっていくのでしょうか。
福井さん: 評価軸は、取り組み案件などに対する定量的な評価と、意欲や自主性などのプロセスやコンプライアンスを守る意識など内面的な評価の2軸に分かれています。評価軸は公表されているので、その評価軸に対してまずは自己評価を示し、その上で評価者である上司と面談が行われ決定するという流れです。
−現在の年収に対する満足度はどのくらいでしょうか。
福井さん: やりたいこともできているので85点といったところです。特にビジネス的な面で自分の足りない部分もありますので、そこを磨いて今後さらに高みを目指していきたいと考えています。
−ありがとうございます。最後に、同じデータサイエンティストを志す方に向けてメッセージをお願いします。
福井さん: 就職や転職の情報サイトを見ると、求められるスキルや要件が多く、尻込みしてしまいがちになるかと思います。
私はデータサイエンティストとして求められるスキルを持っていないところからキャリアをスタートしました。自身に合う会社をいろいろ探してみて、その業界に足を踏み入れてから一生懸命努力すれば、今求められるスキルや要件を全て持っていなかったとしても、きっと活躍できると思います。一緒にがんばっていきましょう!
取材日:2024年6月17日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 徳永
株式会社GRI 小林
ライター:
株式会社BICP DATA 山田
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福井 慎二郎 氏(31歳)
中途入社・データサイエンティスト歴1年目・データサイエンス部
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