2024.06.18

【イマドキのデータサイエンティストに迫るvol.3 後編】

データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。

 

第三弾の後編は、引き続き株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニーのサービス開発室でデータサイエンティストをされている、秋山薫平さんにお話を伺います。

株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー 秋山薫平 氏(32歳)

中途入社・データサイエンティスト歴3年目・サービス開発室

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<前編のインタビューはこちらをご覧ください>

−ここまで仕事の流れをお伺いしてきましたが、改めて秋山さんはこの仕事の面白さをどのような部分に感じられていますか?

秋山さん: 自分が考えたものが実装されることで社会が良くなるとわかっていて、かつそれを実装できる立場にあることが非常に面白いです。

プロジェクトを進めること自体も楽しいですが、自ら問題を発見してそれに対してデータを活用し「こうしたら良いのではないか」と自由に発想できる点も、自分のバックグラウンドと非常にマッチしています。

プロジェクトが問題なく進行していたり、メンバーが自発的に動いている状態を見ると、うまくいっているなと実感し、嬉しいです。
また技術的な課題が発生した際も、何らかの打ち手が見出せた時も面白いなと感じます。

 

−今実感している”面白さ”は、大学院や新卒時代ではなく、現職だからこそ感じられるものなのでしょうか?

秋山さん: 大学院でも部分的には経験があり、論文を書くという行為がそれに当たると思っています。
ただし論文は「結果」まではまとめられるものの、その結果を活用して実際に行動変容がどうなったのか、は求められないと思っています。出した結果に基づいて意思決定をしていく、実社会に落とし込んでいくということは、今の立場でないとできないことだと感じています。

 

−「実社会に落とし込んでいく」とは具体的にどのようなことなのでしょうか?

秋山さん: 今取り組んでいるプロジェクトでは、生活移動の利便性を従来の観点ではなく新しい軸で指標化し、見える化をしています。また見えた結果に対し、施策や効果のシュミレーションまでも一気通貫で見られるツールを研究開発しています。
このツールを自治体や交通事業者の方に活用していただくことで、移動が不便な地域の課題を事前に洗い出し、将来的なまちづくりや交通・都市計画に反映させることが可能です。これにより持続可能な”住み良い町”を作ることができると考えています。

 

−社会への影響が明確に見えていますね。秋山さんにとって現在の仕事の満足度は100点満点中、何点でしょうか?

秋山さん: 現在の常駐先のお客様を継続して担当できるなら、100点ですね(笑)。自分がやりたいことができているし、実際に社会の課題解決に関する成果が出せそうと感じているためです。

 

−大学院や前職時代と比較して、メンバーズデータアドベンチャー社に入社したことで伸びたスキルはありますか?「実社会に落とし込む」という先ほどの話もありましたが、他にもあるのでしょうか?

秋山さん: プロジェクトマネジメント関連のデリバリー品質は非常に向上しました。また役員向けの報告が多いので、資料作成の能力も向上したと思います。

また大学院時代の分析はArcGISやQGISしか使っていなかったのですが、pythonやPostgreSQL、PostGISなど地理系のパッケージにも強くなったと実感しています。

 

−少し意地悪な質問ですが、先ほど「常駐先のお客様が継続担当できるなら、満足度は100点」というお話がありました。常駐先ではなく、メンバーズデータアドベンチャー社に在籍しているのは何か狙いがあるのでしょうか?

秋山さん: すごく良い質問ですね(笑)。
メンバーズデータアドベンチャーには「組織が状況に合わせて流動的に変わっていておもしろい」側面があることが、在籍している理由になります。

メンバーズデータアドベンチャーは将来の想定リスクに応じて、さまざまな組織の立ち上げや部署変更に取り組んでおり、これからもどんどん「成長していこう」と感じられる部分があります。
私もその手伝いをしていきたいと思っています。

 

−組織の変化や成長に関われることはとても魅力的ですね。現在のご自身の成長に対しては100点満点中どのような自己評価をされますか?

秋山さん: 75〜80点でしょうか。自分の成長が、プロジェクトの立ち上げやプロジェクトマネジメントに少し偏っていると感じているためです。例えば、統計や機械学習など専門的な分野をキャッチアップすることなどにもう少しリソースを割いても良いかなと思っています。

あとは、プロジェクトをもう少し俯瞰的に広く見た方が良いなと思う場面はありました。最終的に事業化を目指しているので、投資対効果や開発投資の回収方法などの経営的な知見が必要だと感じるようになりました。

 

−メンバーズデータアドベンチャー社の中で経営視点を成長させるための取り組みはありますでしょうか?

秋山さん: 経営講座のようなものが社内にもあります。個人的には経済学部で学んでいたこともありますし、常駐先の役員に壁打ちをさせていただくこともあります。

 

 

−少しセンシティブな質問になりますが、給与体系についてお聞かせください。給与レンジと評価制度について教えていただけますか?

秋山さん: メンバーズデータアドベンチャー全体で考えると年収430〜700万円辺りが主要なレンジです。賞与の機会は6月と12月の2回あります。

評価制度では「業務遂行・コンピテンシー・スキル」の指標を見ています。

業務遂行は、お客様先での活動・活躍を評価しており、コンピテンシーは仕事への取り組み方やマインドセットを評価しています。スキル面では、資格取得や取得した業務をどのように反映させていくかを評価しています。評価対象となる資格には、もちろんデータサイエンティスト協会が主催しているDS検定も入っています。

これら3つの指標に基づいて評価が決定されます。、常駐先での能力発揮やスキルや資格を積み上げて評価をあげていくという流れになります。すこしRPGのようなゲーム感覚の要素がありますね(笑)。

 

−秋山さんは入社以降、年収は上がりましたか?給与面での満足度はいかがでしょうか?

秋山さん: はい、メンバーズデータアドベンチャーに入社して3年ほど経ちますが、年収ベースで100〜150万円ほどは上がりました。
給与面での満足度は少し厳しくいうと70点ほどでしょうか。足りない30点は組織の評価制度の側面ですね。現在の評価制度は、組織のマネージャーになることを前提に設計されていると感じます。
私はマネージャー職よりも現場で新規事業開発をバンバン立ち上げていきたいと考えています。私のようなキャリアパスの人も評価される仕組みを、自分でも作れたらと思っています。

評価制度を変えるということは、そう簡単な話ではないと思いますが、変えられないということはないと思っています。私の所属するサービス開発室ではそういった取り組みもおこなっています。

 

−それではここからはメンバーズデータアドベンチャー社について少しお聞かせください。御社の主力商品を教えていただけますか?

秋山さん: はい。現在の主力商品は、データ領域のプロフェッショナル人材の常駐サービスがメインで、私のようなデータサイエンティストやアナリスト、エンジニアなどがお客様の課題や要求に応じて常駐しています。

一人で常駐することもありますが、複数人のチームで常駐することがほとんどで、その割合は全体の9割ほどです。

−特に案件が多い業界はありますか?

秋山さん: toCサービス向けのエンタープライズ企業が主になります。その他にも金融、飲食、通信業界と業界は多岐に渡っています。

 

−今後秋山さんがチャレンジしたい業界が出た時には、その業界の案件が社内にあるという可能性は高そうですね。

秋山さん: そうですね。期待できるところです。

 

−もう少し、この業界の案件を増やしてほしいな…などはありますか?

秋山さん: 自分がやっているということもありますが、MaaS系などまちづくり系はもっと増えてほしいと思います。また、電力系にも興味がありますし、人的資本経営などに注目していることもあり人的資本と企業価値に関しても興味があります。

また、要件が決まりきっている案件よりも、自由度が高く「これで困っているのでどうですか?」と相談からスタートできる案件の方が嬉しいなと思っています。課題発見や解説作の策定などより上流から入れる案件があると理想的です。

ちなみに上流案件を増やすことは、私が所属しているサービス開発部のミッションにもなっており、今後はそれを強化して行きたいと考えています。

 

−ありがとうございます。社内についても少しお伺いしたいのですが、社内コミュニケーションはどのような雰囲気でしょうか?

秋山さん: チャットでのコミュニケーションが活発です。雑談ネタから記事や活用できそうな情報の共有も盛んです。勉強会も盛んで、分科会なども頻繁に開催されています。

私も輪読会に参加しています。テーマとなる書籍を選び、著者に質問するなど、色々な取り組みをしています。

 

−勉強会は、他にどのようなものがあるのでしょうか?

秋山さん: アクセス解析やGA、データガバナンスや機械学習、統計など多岐に渡ります。資格取得向けの勉強会やTableauなどのBIツールの可視化をテーマとしたものなどもあり、データに関するものは大体あるように感じます。

過去の勉強会はアーカイブで見ることができるため、入社前に開催された勉強会も参照できる環境になっています。

 

−理想的な環境ですね。メンバー同士で飲みに行ったりなど、時間外やプライベートでの交流もあるのでしょうか?

秋山さん: もちろんあります。常駐先が同じであったり、部署が同じ人は比較的集まっているかなと感じます。

全社で集まる機会は月1回オンラインで集まる「帰社会」や、3ヶ月に1回オフラインで集まる懇親会などがあり、ワンシーズンに1回くらいは大人数での飲み会が企画されています。

−最後に、会社におけるデータサイエンス職の待遇について満足度を教えてください。

秋山さん: 60〜70点くらいかなと思っています。これは会社というより業界全体の課題かと思うのですが、データサイエンティストというのは比較的いろいろな内容を含んでいると思っています。

データサイエンティストという職種でも、例えば上流は得意だが基盤構築が苦手であったり、その逆もあります。データサイエンティストを一括りにするのではなくもっと多様なあり方があっても良いのかなと思っています。なので、この一括りにされている定義をより実態に合う形にアップデートできると良いな、と思っています。

 

−ありがとうございます。これから転職や新卒でデータサイエンティスト職を探している方に向けて、メッセージをお願いします。

秋山さん: 当社は自発的に「これをやりたいです」ということに対して、「みんなでやろうよ」と人が集まってくれる会社だと思います。受け身ではなく「こういうことをやりたい」という熱意を持ってもらえると嬉しいなと思っています。

 

 

※株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニーの採用情報を確認する

 

 

https://www.dataadventure.co.jp/recruit/

 

取材日:2024年4月17日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 西原
株式会社GRI 小林

 

ライター:
株式会社BICP DATA 山田

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