データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第一弾の後編は、引き続き株式会社分析屋でプロジェクトマネージャーをされている、古手 渉氏のインタビューをお送りします。
<前編はこちら>
−会社には、年収のレンジや賃金モデルみたいなものはあるんですか?
古手さん: 私の場合はざっくり言うと700万から1000万円ぐらいのレンジですかね。売り上げなども加味するので、案件によります。私は案件全体を見てるのもあって、総合的に加味して付けてもらっていると思います。自分で言うのもおこがましいですが、その中でも一番もらっているレイヤーにいると思いますね。賃金モデルは新卒自体が少ないので、ないと思います。
−年収、年俸の決め方は、毎月の基本給プラス賞与ですか?
古手さん: はい、そうですね。賞与は年1回、期末賞与があります。
−インセンティブの反映は賞与ですか?
古手さん: そういう訳ではなくて、月収にインセンティブが含まれていて、半期ごとに評価が更新されます。
−昇給もありますか?
古手さん: はい、あります。
−収入に対する満足度はいかがですか?
古手さん: 満足しています。お金に関してあまり頓着がなく、そこまで求めている訳ではないので、600万円以上なら満足と会社には伝えています。そこからプラスの部分については会社が評価してくれてるんだなと受け取っています。
−これから収入を上げていく場合、どういったことをすればよいと考えていますか?
古手さん: おそらく売上拡大をしていくところだろうと思います。私が任されている範囲は広くて、チームメンバーの選定だったり、案件の拡大をしていくのも自分次第っていうところがあるので、その辺りが鍵になってくると思います。必然的に扱うメンバーが多くなる、案件のボリューム自体が大きくなると、収入が上がっていくのかなと思いますね。
−会社の主力商品は何ですか?
古手さん: 主力はデータ分析の支援業務になります。人材支援として客先に出向いたり、案件を受託して社内環境で業務をしたりします。私たちは基本的にデータを保有していませんので、クライアントが持つデータを基に分析をサポートします。データがあるので分析したいなと思った時に、弊社を頼っていただければ、分析のプロですので、計画、プロジェクトの流れ、次のアクションへ向けての活動というところをサポートできます。
−クライアントからスポットで人材が必要なので出してほしい、というような要望はありますか?
古手さん: 私が関わっている案件では、そのような要望が頻繁にありますね。分析量が増えたり、分析基盤の開発で必要となる場面でご相談いただいています。
−今までのクライアントで、無理難題を振ってくる方やあまり相性のよくない方はいましたか?
古手さん: クライアント都合で納期の短縮や急な要望の変更など、営業時に経験したことがあります。しかし、営業段階やプレの段階でクライアントの課題をしっかり整理するやりとりの中で、フィルタリングされていきますね。
ここで反りが合わないと長くは続かないので、現在行っている案件のクライアントについては、非常に良好な関係を保っています。良好というのは、話が通じる、要するに、こう論理立ててこういう風にしなければいけないから、こういう予算を取ってほしいとか、納期を延ばしてほしいという会話が成立する関係ですね。
−クライアントのデータ準備が遅れて納期をずらすなど、実質的な値引きを提案されることはありましたか?
古手さん: はい、ありました。稟議が通らないから値引きを交渉されることもあります。継続してるクライアントからはないのですが、新規の場合はよくありますね。
−会社における、育成、報酬、環境などの、満足度はどうですか?
古手さん: 会社としては10点中5点くらいですかね。良い面は、BIツールを使うところから、モデル構築、基盤構築など、さまざまな分析業務をしている社員がいて、業界も多種多様に関わっているので、相談しやすいというのと、社内コミュニケーションが結構活発で、情報を発信してくれる社員もいるので、相談したくなったらアクションすれば情報をもらえます。自分が触れたことがない分野のデータの時は助かりますね。
半面、やりにくいところはそもそものデータサイエンティストの職種自体がそうなんですけど、どういうキャリアパスを歩んでいいのかわからないところですね。まだ会社自体もさまざまな派生が出てきたり、なにがベストか言えない状況になっているので、そこは自分で判断していかなくてはいけないかなと思います。
−貴社は、若い方が多く、ネットワーキングも含めて結構盛り上がるっているイメージです。
古手さん: その通りです。基本的には新卒も毎年取っていますし、データサイエンティストという職種は若い方が注目し目指す傾向があると思います。中途でも、20代後半から30代前半が多いですね。懇親会や定例の帰社日があるので、普段は会わないけれど、各現場に散らばっている社員が集まって何かをしたり、チャットでのコミュニケーションも活発で、社員間の結びつきは強いと思います。
−休日に同僚と会うと聞きましたが、どうしてですか?
古手さん: 私が考えるに、結構オープンで人懐っこい社員が多いからだと思います。集まった時に声をかけてくれる社員が何人かいて、そこで輪ができて、それが繰り返されて活性化されてるように感じます。私も当初は奥手でしたが、先輩方が話しかけてくれて、私も後輩に話しかけて、そういうのが続いていると思いますね。
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−架空でよいのですが、理想的で働きたい会社はどういう会社ですか?
古手さん: 利益を効率よく上げられる会社が理想です。週5で働いていますが、余暇の時間がもう少し欲しいと思うことが増えてきたので、週4日、週3日勤務のような働き方ができるといいですね。それが自分の得意とするプログラミングや分析であればさらにいいですね。
−今の時代、働くことの価値観が変わってきていますね。
古手さん: まさにそう思います。私はプログラミングや分析が大好きで、それを業務として行うのも楽しいのですが、単純に好奇心でやることも好きなので、そういうところに時間が割けるとうれしいですね。
−最後にメッセージをお願いします。
古手さん: 新たにデータサイエンティストになる方々に伝えたいことは、日々データサイエンスだと私は思っています。まわりには数値があふれています。自分の哲学や思想を軸に、そのデータを分析し、結果を考え、考察をすることが日々の業務に生かされてると思っています。すごく面白い数値もあれば、つまらなそうに見えるものもあると思います。それでも、まずは日常のさまざまなデータに興味を持って、分析をすることを日々繰り返していくと、楽しいデータサイエンティストの人生を送れると思います。
−数学者のように、歩行のリズムや日常の出来事を数学的に考えるような姿勢と似ていると感じますね。
古手さん: そうですね。単純比較でもいいと思っていて、異なる国や地域のデータの違いなどを見て、なんでこんな風に差がついてるんだろうとか、日常の中で気づく小さなことからも、新しい発見があります。目の前のデータだけにとらわれず、さまざまな角度から分析することが大切だと思います。
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インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社GRI 上野・小林
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株式会社分析屋 古手 渉 氏 (28歳)
新卒入社・データサイエンティスト歴6年目
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