2016.07.13
委員会便り 第4号 「スキルチェックリスト作成の道のり」
皆さま、こんにちは。
委員会便りも今回で4回目となりました。
今回の委員会便りは、昨年公開した「データサイエンティスト スキルチェックリスト」の作成エピソードを中心にお送りいたします!
■今号の目次
(1)スキルチェックリスト作成の道のり
(2)データサイエンティストお悩み相談
(3)スキル委員メンバー紹介
(4)お知らせ
スキルチェックリスト作成の道のり
昨年より公開している「データサイエンティスト スキルチェックリスト」では、422個もの詳細なスキルチェック項目をリスト形式で掲載しています。
これらのチェック項目は、2015年の春から検討・整理を開始し、同年秋までの半年間で完成させました。
…と、一行で書くと何てことないように見えてしまいますが、実はこの半年間、特に夏から秋にかけての追い込み期間は、苦労の連続でした(ツラかった…)。
議論が炸裂し過ぎて、一時は「サイエンス力」のチェック項目を纏めるくらいが精一杯ではないか、、、という考えも出ていたのですが、最終的には何とか「サイエンス力」「エンジニアリング力」「ビジネス力」の全てを完成させることができました!
そこで今回は、このスキルチェックリストの作成過程のエピソードを、一部ご紹介したいと思います。
1回で完成したカテゴリは皆無。どれも毎週毎週何回もブラッシュアップを繰り返し
チェック項目は、まず各スキル委員が自分の担当カテゴリのチェック項目草案を作成し、それを毎週開催されるスキル委員会の場でブラッシュアップする、という流れで作成しました。
そして、委員会の場で出た指摘項目は各委員が持ち帰って対応し、翌週のスキル委員会でまたディスカッションを繰り返します。
どのカテゴリも一発で決まることはなく、複数回のディスカッションを経て作られました。
特に、「Data visualization」「プログラミング」「ITセキュリティ」などは10回以上ディスカッションを繰り返したでしょうか…。しかしその分、チェック項目の仕上がり度は抜群です!
チェック項目作成の思想はカテゴリ横断で統一化
- プロダクト固有のスキルに依らないチェック項目とする
- 「知っている」ではなく「できる」を測る
- 特定のプロジェクトでは重要でも、一般的でないスキルは除く
- 単語は長音符一つの有無まで徹底的にこだわり統一化
(「サーバー」ではなく「サーバ」など。この辺りは議論の余地があるかと思いますが、検索Indexを利用してデータドリブンに決めていきました)
といったものです。
そして各領域のカテゴリが一通り完成したあと、最後はスキル委員精鋭メンバーが「合宿」と称した集中的な会議で最終横串チェックを行い、完成させていきました。
ビジネス力はコンサル的な能力だけで良いのか?
ビジネス力については、当初、コンサル的なものに偏りかけたのですが、
「本当にそうなのかなぁ?我々はデータプロフェッショナルに必要とされるスキルセットを定義しないといけないよね。多分、全部の項目に『データ~』って付けられるくらい、とことん『データ』にこだわらないといけないんじゃないか?」
といった議論を繰り返し、「データサイエンティストとしてのビジネス力」には何が必要なのかをとことん突き詰めてきました。
結果として、適切なチェック項目を策定できたのではないかと考えています。
現在皆様にご利用いただいているスキルチェックリストは、このような活動の成果として作成されており、我々スキル委員一同、自信を持ってお勧めできるものに仕上がっております。是非、ご自身のスキルレベルの現状把握や、強み弱みの把握などにご活用ください!
また、スキルチェックリストを元にスキルレベルをWebで簡易診断する「スキルチェックテスト(簡易版)」も併せてご利用ください。
使い方などは委員会便り第3号で紹介しています。
ちなみに、スキルチェックリスト作成のエピソードは上記3つ以外にもたくさんあり、全てをご紹介したいのですが、それにはいささか紙面が足りないようです。
また機会があれば続きをご紹介させていただきますね!
データサイエンティストお悩み相談
続いて、当協会にお寄せいただいた、データサイエンスやデータサイエンティストの仕事に関するご相談にスキル委員会のメンバーがお答えする「データサイエンティストお悩み相談」をお送りします。最初のお悩みはこちらです!
IT関係の仕事をしています。最近データ利活用の提案を顧客に求められるのですが、そういった提案したこともないんで、何をしたらいいか一歩目から分からないのですが、参考になるものを教えていただけませんか。CRISP-DMとかは調べると出てきたのですが、話が大きすぎて抽象的すぎて自分にはちょっと難しかったです。
前号に引き続き、大黒さんからの回答でした。
二つ目はデータサイエンティストの仕事に関する質問です。
大江
スキル委員の大江です。
もちろん、データを解析することをコアとした職種なので、コンピューターを使用し解析する時間は多くあります。
職種にもよりますが、データサイエンティストの仕事は、プロジェクトで行われることが多くあります。関係者とのプロジェクトの推進や、解析結果の的確な説明など、コミュニケーションをとる機会が多いです。
なお、実際のビジネスを推進するに当たって必要になるスキルについては、スキルチェックリストのビジネス力の項目をご覧ください。
いかがでしたでしょうか。
スキル委員会では、皆様からのご質問・ご相談を募集しています。詳しくは、「(4)お知らせ」をご覧ください。
スキル委員メンバー紹介
スキル委員会のメンバーをご紹介するこのコーナー。
今回は、元・スキル定義委員/現・協会事務局長の橋本さんと、「データサイエンティストお悩み相談」で回答者として登場いただいた2名の方々をご紹介します!
株式会社ブレインパッド アナリティクスサービス本部にて、データサイエンティスト育成分野での企業向けの教育サービスを担当。さまざまなデータ分析プロジェクトに従事した自らの実務経験を活かし、研修の開発・カスタマイズや分析チームの立ち上げを数多く支援。
現在、慶應義塾大学SFC研究所所員、データサイエンティスト協会の事務局長も務める。
一昨年40歳となり、人生の折り返し地点を過ぎたこともあり、自身のことだけでなく、次の世代を強く意識するようになりました。
データサイエンティストという新しい職種の確立と地位の向上、ならびに日本のデータサイエンス活用促進に少しでも貢献し、次の世代に役立てばとの思いで、日々活動しています。
株式会社日立インフォメーションアカデミー ビジネス研修部技師。現在は日立製作所ならびに同グループ会社を中心に、データ・アナリティクス・マイスター育成、イノベーティブ人財育成のための研修の企画・開発・実施を担当。分析実務では、需要予測、在庫・生産管理、テキストマイニング、センサーデータの分析に従事。名古屋大学大学院 生命農学研究科博士課程後期課程 修了(農学博士)。
私はスキル定義がはじまってから数か月遅れて参加したのですが、その時点ですでに熱気はピークに達していました。6月ごろ部活に入部した人はこんな気持ちなんだろうなーと思いつつ、必死で価値貢献できるようとりあえず発言を心掛けてきました。その結果(自分的には)ガヤ委員のポジションを確立できたと思っています。
現在の職務との関連では、ビジネス、データサイエンス、データエンジニアリングそれぞれ単独のスキルはいろいろ学ぶ場があると思います。しかし、掛け合わせ(ビジネス×データサイエンスなど)は経験に依るところが大きく、この掛け合わせの部分をより上手に学べるようにしていきたいと思っています。
はじめまして!株式会社インテリジェンスの大江です。普段は転職支援サービスのマーケティングを担当しています。協会内では珍しい文系人間で、勉強するのに必死です(笑)
今後は、これまでに蓄積した転職成功データに潜んだ知見を上手く引き出し、より良い転職を実現する支援につなげていきたいなと思っています。
ちょっとした身体の動きや脳波の変化など、今までは計測できなかったデータも、センサーの活用によって取得できるようになりつつありますよね。近い将来、人生の機微をも捉えられるようになったら、社会はどんな様子に変化してるのか。考えるとワクワクします。
とはいえ、そんな社会の大きな変化も、適切にデータを扱える人材が育たなければ実現できません。データサイエンティスト協会での取り組みが、今後の産業発展につながればいいなと思い、微力ながらも貢献していきたいと思います。
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大黒
スキル委員の大黒です。
具体的にとなると、ドメインによって全然違いますね。例えば、
(…続きはログインしてお読みください)
・ネット広告だったら、
「ネット広告のデータ分析プロジェクトはどのように行われるのか(@IT)」
・製造だったら、
「【第1回】製造業のデータ分析には2つのタイプがある(IT Leaders)」
・アクセス解析だったら、
「データ分析の三賢人はデータのどこを見る? 『Googleアナリティクス実践講座』セミナーレポート(MarkeZine)」
とか参考にいかがでしょうか。