2018.03.15

文系の経験を活かすとは?

以前の「文系でもデータサイエンティストになれますか?という質問のご回答で、データサイエンティストには「文系の方の経験も活かせる」と書かれています。

 

例えば、以下のような形で、文系の経験を活かすことは意味はありそうでしょうか。このような方向性での、データサイエンス研究がありましたら、ご教授お願いいたします。また、以下とは別の方向での文系を活かしたデータサイエンス像も掴みたいのですが、関連のことをお願いいたします。

 

ビッグデータの中でも、数字ではなく、インターネット(サイト、ブログ、SNS)、アンケート、問合せ、発話、という言葉のデータを扱う場面においては、歴史古典研究の研究法、研究感覚は関わると思われます。つまり、歴史古典研究では、文献の文章、言葉を読む上で、辞書の定義を当て嵌めるだけではなく、個々の使用者の言葉に対し加えているイメージ・意味も読み取る作業が行われます。使用者に即した言葉の理解は、その人の真意、本人も言語化していない潜在的に持つ感覚を知ることにつながります。このような形で、入手した文章の内容以上の情報を得ていくのが、歴史古典研究の一面です。ビッグデータ研究でも、当然ながら、こうした文章に直接示されていない情報、言外の意味、を読み取ることは重要と思います。

 

ビッグデータになり扱う量が膨大になると、当然ながら、精緻なプログラムを作成して、機械によりこの言外の意味を読み取る作業を行うことになると思います。すると、一度、歴史・古典研究などの作業手順が精緻にまとめられ、それをコンピュータプログラムに生かそうとする作業は意味あるものと思います。

回答

DS協会員
スキル委員会安宅 より:

これから起きるのはあらゆる世界がデータ×AI化するということです。なので、どのような分野であっても理数素養をベースにしたデータリテラシーが必要になってくると考えられます。

理数素養が欠落した文系というのは国外にはない概念ですし、文系固有の経験というものは一歩日本を出ると存在しないと思われます。しかし例えば服飾における素材についての知識や流通についての造詣など、領域ごとの深いドメイン知識ということであれば十分にあります。(このような仕事をやっている方は文系が多いとは思いますが、それは単に日本の大学が極端に文系に偏っているからで、文系の経験というのは無理があります。)

書かれている「辞書の定義を当て嵌めるだけではなく、個々の使用者の言葉に対し加えているイメージ・意味も読み取る」というイミ理解は、意志とならんで、最も人間しか当面出来ない仕事の一つであり(AIによる自動化の見込みが立っていない)、そこは文系の仕事だとは思いませんが、この理解をある種の機械学習に対する正解データ的に活用する仕事は十分あり得ると思われますし、また既存のデータのラベル付けや仕分けには不可欠だと思われます。

このように深いドメイン素養を持ち、そこにデータリテラシーを差し込むことで境界、応用領域の刷新を図るというのがこれからの姿だと思います。また課題解決は単に技術で起きるものではなく、実際には「課題(夢)×技術×デザイン」という形で起きます。この夢を描き、様々な要素を領域を超えてつないでデザインする力を持てるかが非常に重要になってくると考えます。

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