2022.09.06
課題解決型人材コンテスト2021参加者インタビュー vol.4
課題解決型人材コンテストは、企業にリアルな業務課題とデータを提供いただき4ヶ月間のデータ分析の結果からアクションを提言するコンテストです。参加者がチームを組みメンターからアドバイスを受けながら、フレームワークに沿って課題・データ提供企業と合意形成するユニークな取り組みとなっており2022年も先日よりスタートしました。(2022年の概要はこちら→https://techplay.jp/event/866862)
今回は、昨年の課題解決型人材コンテスト2021で、メンターを担当したお二人にコンテストを振り返って様々なお話を伺いました。
2021年課題解決型人材コンテンスト概要
コンテンストのインタビューvol.2をご覧ください。
今回お話を伺ったのは:日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部の長井真吾さんと同社テクノロジー事業本部のデータ・AI・オートメーション事業部Data&AI第一テクニカルセールスの牧野泰江さんにお話を伺いました。
インタビューアー:DS協会 広報担当 真田
真田 最初に長井さんと牧野さんのそれぞれ自己紹介とお仕事の内容を教えてもらえますでしょうか。
長井 私はサービス部門で働いており、部門としては製品サービスやその関連技術の支援サービスなどを展開しています。私個人としては、現在はAIを業務に取り入れたいお客さまにPoCを実施し、PoCの結果がうまくいった際はAIを業務に組み入れるサービスに関わっています。
牧野 私は現在データ分析のツールのテクニカルセールスを担当しています。長年データ分析ツールであるSPSSを使ったサービス支援の担当をしていました。ツールの使い方やデータ分析の手法などを説明するエデュケーション業務が主で、並行してデータ分析の支援を行っていました。
真田 コンテストでメンターを行うのは今回が初めてでしょうか。
長井 はい。今回が初めてです。
牧野 私も初めてのメンターでした。
真田 お2人は他のコンテストでメンターのご経験はありましたか。
牧野 私は全く初めてです。
長井 メンターの経験はないですが、Kaggleなどの精度を競うコンテストなら参加したことがあります。
真田 メンターを担当したことで学んだことはありますか。
牧野 私がメンターに付いたチームの皆さんは、一人一人がこれまでの経験に基づいた意見を持っていて、アドバイスすることがほとんどなかったです。自然に各自ができること、得意とするところでの役割が決って、それをリーダーが取りまとめ、進路の指示をされていたところから、チームワーク向上の方法を学べました。
真田 長井さんはどうですか。
長井 メンターは初めてだったので、どういう立ち位置がベストなのか分からず、手探りのことが多かったです。私が思うメンターの役割は、チームが間違った方向に進みそうなとき、チームを軌道修正してあげるものと解釈していました。振り返ってみると、このタイミングでこういうことを言ってあげたらよかった、こういうアドバイスができればよかったと思うところがあったため、次回のコンテストや普段の業務でも役に立てられそうです。
真田 チームのメンバーとはオンラインでコミュニケーションをとっていたと聞いてますが、コミュニケーションをとるなかで工夫されていたことはありますか。
長井 そうですね、皆さんベースのデータサイエンティストとしてのスキルはあったので技術的に困ることがありませんでした。もし知らないことがあっても、自分で調べて実践できる方々でした。技術に関して聞かれることはあまりありませんでした。
やはり議論が白熱しているときに自分の意見を言うのは、あまりしないほうがいいなと思っていました。そのため、聞かれたことと、議論が終わった後に言っておいた方がよいことがあれば言うように心がけていました。
メンターの経験を通じて、役割分担の重要性を再認識
真田 4カ月のメンターを経験したことで、普段の仕事に生かせることはどのようなことでしょうか。
牧野 役割分担をするのが重要だと感じました。各自が得意なところを生かして積極的に担当し、逆に不得意なところは他の人に任せるやり方は、限られた時間の中で成果を上げなくてはいけないので効果的だったと思います。結果的にリーダーはリーダーシップを執って資料を作ったり、まとめたりする役、分析が得意な方はこの分析、別の分析が得意な方はあの分析という形で進められました。そのやり方が実り、優勝できたのではないかと思っています。
自分の業務であっても得意不得意があると思うので、得意なところをより伸ばせればいいし、不得意なところは、得意な人がやっているのを見ながら吸収して、底上げしていくのが良いと感じました。
長井 普段の業務では、ミーティングやお客さまとのQ&Aに客観的な立場で参加する機会がありませんでした。メンターを経験したことで、良い情報を引き出すためには、どのような準備をして、どのようにデータで裏付けをして、どのような質問をすれば良いのかとても勉強になり、日頃の業務にも生かしていけると思いました。
様々なレベルのデータサイエンティストがそれぞれ学べるコンテスト
真田 チームメンバーに応募したいなと検討している方へ、本コンテストをお勧めするポイントを教えてもらえてますでしょうか。
牧野 そうですね。異業種の方々と一緒に仕事ができる機会は普通に勤めているとなかなかないと思います。様々な目線からデータに向き合えるので、参加してみると気付きが多く面白いはずです。
長井 データサイエンスのプロジェクトに携わっていても、業務の中でできる範囲は限られているんですよね。本コンテストのように、お客様からデータを提供いただき、お客様と実際にやりとりする機会はなかなかないです。ビジネス力はそのような実践力がものをいうので、技術的なスキルはあるけれど、ビジネス力を伸ばしたい人にはすごくお勧めです。
また、様々なレベルのデータサイエンティストが楽しめるコンテストになっていると思います。データサイエンス力が高い人にとっては、とても骨のある課題なので腕試しにはピッタリでやりがいもあります。これからデータサイエンス力を伸ばしていきたい人にとっては、ハイレベルなスキルを持った人たちと行動することで、自分自身の課題が見えてきます。メンターであれば、客観的にディスカッションを見ることができるので、普段は気付かないことに気付いたり、その後にチームのレビューをすることでレビュー力が養われます。
真田 4カ月という期間はいかがでしたか。
牧野 やっているときは、毎週の定例で2時間は短くはない時間だったので、大変に思ったこともありました。しかし、4カ月を過ぎてしまうとあっという間でした。
長井 やることがたくさん詰まっているので、4ヶ月はちょうどよかったかなと思います。課題の見極めから、たくさんのデータを分析しないといけないことに加えて、そこからPoCを実施して施策提案までやるとなると、やはり4カ月は最低必要かなと思っています。ただ、それ以上長いと、緩むところも出てくると思うので、期間的にはちょうどよかったと思います。
真田 メンターを経験して、またはチームを見ていて、想定外のことや大変だったこと、困ったことがあったら教えていただきたいです。
長井 チームの方々にとって難しかったのは、業務との両立でした。業務のピークや家庭の事情でミーティングに出られなくなってしまったとなると、その人に課せられていたタスクの進捗が確認できなくなってしまいます。その遅れはどこかで取り戻さないといけないのですが、毎週ミーティングしていると、なかなか取り戻せない状況だったと思います。そのため、お互いにフォローできるような体制にしておいたほうがよかったかなとも思います。
真田 データサイエンスを通じて将来やっていきたいこと、業務において実現していきたいことがあれば教えてもらえますでしょうか。
長井 普段、お客様向けにPoCをやったり、AIを業務に組み入れたりしていますが、PoCで終わるケースが多いので、まずはAIを業務で使用していただけるように、業務変革のご支援をしていきたいです。素晴らしいモデルができたとしても、作って終わりではなく、導入して、お客様のところで運用していただいて、監視もしないといけませんよね。場合によってはさらにチューニングが必要かもしれません。所々の難所をカバーしたトータルなソリューションを提供していきたいです。
牧野 近い将来オートでプログラムが組めるような時代が来て、みんながハッピー、みんなが苦労しなくて済むようになると思うんです。今の苦労が、この先報われて全自動の時代が近いと信じています。それに貢献できるような仕事をしたいです。
真田 ありがとうございます。
真田 最後にこれから本コンテストに参加される方、検討している方へ一言お願いします。
牧野 お客さまのリアルなデータを使って分析したいという方にはぜひお勧めですね!
長井 勉強、スキルアップしたいという人が一番多いと思います。しかし、一回業務に近い経験をしたからといって、急にスキルが上がるわけではないので、一番の目的は自分の課題を見つけられることだと思っています。様々な人との出会いがあるところなので、自分と全く違うバックグラウンドの人の話を聞くと刺激になるという声が多いです。そこから本コンテストの後も、スキルアップしていくモチベーションにつながると思います。
真田 ありがとうございました。
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