2023.08.07

Data of Data Scientist シリーズ vol.44『40%-所属企業に専門組織があるデータサイエンティスト』

データサイエンティスト協会では、一般(個人)会員向けのアンケートを毎年実施しています。今回は「データサイエンティストの専門組織」を切り口に調査結果を考察します。

2022年度の一般(個人)会員向けアンケートでは、新規に「あなたの所属する企業や組織では、「データサイエンス」に関する専門の部署やチームがありますか。」の設問を追加しました。その回答を集計したところ、「存在する」と回答した割合は40%という結果になりました。これは、データサイエンティストとして働いている人の40%は、専門組織がある企業で働いている、ということを意味します。逆に言えば、60%のデータサイエンティストは所属企業に専門組織がない、ということになります。年々データ利活用が進んでいる一方で、社内の体制の整備はまだ追いついていない、という現状が見えてきます。

 

専門組織の有無

この「存在する」と答えた40%の内訳について、より詳しく見ていきましょう。回答を業種別に集計してみたところ、金融・保険業界が67%で最も高く、次いで製造業が47%と2番目に高い結果となりました。これらの業界では特にAIの需要が高いと言えるかもしれません。金融・保険業界では、ローンや保険支払いの不正検知や、問い合わせのチャットボット対応、製造業では機械・部品の異常検知、在庫適正化などへのAI適用が挙げられます。また、金融・保険業界については、内製化の意識が高いことも要因として推測されます。個人情報を多く扱うため、外部に委託するのではなく、自社内でデータ分析をするケースが多い傾向にあるため、専門組織が多く存在していると考えられます。

 

専門組織の有無

次に少し視点を変えて考えてみたいと思います。なぜ60%のデータサイエンティストは、専門組織が存在しない企業においてデータ分析に従事できるのでしょうか。専門組織が存在しない場合、知識やスキルの習得を個人で行っていく必要があります。
以下は、設問「あなたが、データ分析・解析に関わるスキルアップのために現在取り組んでいることを教えてください。」についての回答の集計結果です。2015年からの推移では、「eラーニング」、「資格の取得」が増加傾向であることが分かります。特に「資格の取得」の増加率が目覚ましいですが、資格の数自体が増えてきていることが大きな要因と考えられます(データサイエンティスト協会としても2021年度よりDS検定®★を実施しています)。
この様に個人での知識やスキルの向上の機会が増えてきていることが、専門組織が存在しないデータサイエンティストの活躍に貢献している可能性があります。

 

スキルアップのために行なっていること

今回の専門組織の有無については、2022年度よりアンケート項目として追加しました。そのため、現時点ではその割合の推移をお伝えすることは出来ませんでした。本年度以降も継続調査や詳細調査を実施していく予定ですので、またの投稿をお待ちいただければと思います。

 

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
日本電気株式会社 有里悠希

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