2018.10.03

調査・研究委員会セミナー開催記

「あなたは仕事に満足していますか?~データサイエンティストの理想と本音」と題して、データサイエンティスト協会 調査・研究委員会主催のセミナーを開催した。調査・研究委員会にとっては初めての主催セミナーということもあり、委員長を筆頭に総力戦で挑むこととなった。集客が上手くいくか不安であったものの、イベントサイトの公開から2日で定員を超えるお申し込みをいただき、データサイエンティストに対する世間の関心の高さがうかがえた。

調査・研究委員会セミナー

日時:2018年6月12日(火)
場所:ユビキタス協創広場CANVAS(株式会社内田洋行 本社内)
イベントサイト:https://techplay.jp/event/677229

講演1:『どうなってるの?海外のデータサイエンティスト市場』

初主催セミナーの成功には掴みが大事、ということで「掴み」に定評のある副委員長の多根悦子氏(株式会社ブレインパッド)が登壇し、海外のデータサイエンティスト市場についての調査報告を行った。例えば、Linked Inのデータサイエンティストプロフィールによれば、男性、2つの言語ができる、平均4.5年の業務経験で内2年がデータサイエンティストとしての仕事、R/Pythonユーザーで、修士か博士を持っているのが典型的なデータサイエンティスト像とのこと。データサイエンティストの給料と満足度に関しては、各種Job Titleの中では高評価となっている。また、欧米と一緒くたにされやすいが、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど各地域でデータサイエンティストの待遇が異なっており、地域特性のようなものがあることがうかがえた。

セミナーの様子

講演2:『日本のデータサイエンティストの理想と本音』

続いて、同じく副委員長の大國晃氏(データ・フォアビジョン株式会社)が生粋のデータサイエンティストとして、日本のデータサイエンティストに向けたアンケートから見えてきたコトを紹介。アンケートは、株式会社マクロミルのモニタに対して全23問について行った。今回のアンケートでは、回答者のうち、40代以上が8割、年収800万円以上が3割超、従業員数1000人超が5割弱というプロファイルであり、データサイエンティストには若手が多いというイメージがあったが、長年データと向き合ってきた熟練者も多いという新たな気付きがあった。アンケート結果を基に「データサイエンティストは満足しているのか」をキーに分析を実施したところ、年収は高め、従業員数は少なめ、ビジネス力高め、育成プログラムが充実、などの項目が従業員満足度を押し上げているという結果が得られた。データを分析して価値を見出すこと、を好む人物が多く、それを主体的にやれる立場の人ほど、モチベーションが高いのではないかと考察されていた。

調査・研究委員会セミナー

講演3:『パネルディスカッション:企業から見た採用と育成』

データサイエンティストの活用を推進している2社からパネリストとして、斉藤孝章氏(パーソルキャリア株式会社)、佐々木恭平氏(株式会社インテージ)が登壇。斉藤氏、佐々木氏には、過去に調査・研究委員会のインタビューで、採用・人材育成について自社で推進している取り組みを紹介していただいている。

(関連記事)
データサイエンティストの採用に際しては、応募者と企業とのミスマッチの解消が重要
5年後にメジャーとなる手法を学び自分なりにエッジの立った分野を持て

さらに満を持して、委員長の濱中雅彦氏(日本電気株式会社)がモデレータとして登場。ついでに筆者もモデレータに。
パネリストの自己紹介に続いて、以下の4つに関してディスカッションを行った。

1. 採用と育成の考え方
2. 業務を行う上で伸ばす力
3. 満足度を上げる環境や制度
4. ミスマッチを埋める取り組み

ディスカッション

2社の実際の取り組みについて、マネージャーの立場から語っていただいた。採用・育成に関する短期的な視点と長期的な視点を踏まえた計画、人を見る上ではデータサイエンス力だけではなく、データを解析した結果をお客様に理解していただき意思決定に活用してもらうためのコミュニケーション力を重視。また、社員の満足度を高めるには、最新のテクノロジーにアクセスしやすいように論文や書籍の購入費用をサポートしたり、1人のマネージャーだけではなく関係するメンバーが成果を認めて評価することにより、やらされ感ではなく主体性をもたせる工夫などが必要とのことだった。

ミスマッチの解消については、出来ることと出来ないことを正直に話せるオープンな環境作りや、インターンシップを通して一連の業務を体験してもらうことにより採用後のギャップを少なくする取り組みなどが実際の事例を交えて紹介され、そのまま自社に転用できるものが多かった。その後の質疑応答でも活発に議論が交わされた。

<参加者の反応>
アンケートにて以下のような反応を頂いた。
データサイエンティストの実態を見ることができ、大変勉強になりました。
・海外や他業種のデータサイエンティストの市場感が分かり面白かったです。
フランクな雰囲気でディスカッションができ、満足できる良いセミナーでした。


 

今回、初めての主催セミナーを開催しましたが会場の熱気に包まれ、あっという間の2時間でした。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会は企業のデータサイエンティストのミスマッチを解消するために、さらなる調査を続けてまいります。今後の調査結果の発表にご期待ください!

執筆:日揮株式会社 倉田浩二郎

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