2020.08.17

Data of DataScientest シリーズ vol.3『64%-手本となるデータサイエンティストが社内にいない割合』

データサイエンティスト協会では、一般(個人)会員向けに毎年アンケート調査を実施しています。今回はデータサイエンティストの育成を切り口に考察します。

2015年から2019年までの調査結果によると、「データ分析・解析に従事する専門人材について独自の育成プログラムなどがある」と回答した企業の比率は、9%→13%→17%→23%と増加傾向にあることがわかります。ここからは、①データサイエンスを用いた事業の改善・改革の重要性が高まった(または認識が深まった) ②データサイエンスを用いた業務を社内の人材で担当するケースが増加した、といった背景が読み取れます。

 

では、従業員の目線から、実際にデータサイエンスのスキルを高められているか、という観点ではどうでしょうか?

「スキルアップ時の困りごと」に関する項目では、「育成プログラムがない」「同僚・上司の理解がない」はやや減少傾向にあると言えます。これは、上述の結果にも符号しています。
一方で、「手本になる・教えてくれる人が周囲にいない」という項目は、高止まりしている印象です。

 

人材育成には、「Off-JT(Off The Job Training)」と呼ばれる職場から離れて参加する集合研修・セミナーと、「OJT(On The Job Training)」と呼ばれる職場で実際に業務をしながら先輩や上司から学ぶ方式があります。今回のアンケートでは、Off-JTはその必要性の理解やプログラム整備が進む一方で、OJTとして現場で育成してくれる先達が少ない状況が続いていることが読み取れます。
もちろん、後輩を指導できる立場になるためにも、まずはOff-JTで知識を蓄えるところから始め、現場で実践していくという流れも必要です。データサイエンスがより業務の中で普遍的な存在になる中で、後進育成という観点も含めた育成プログラムを意識することは、この分野では特に重要と言えそうですね。

 

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社日立アカデミー 澤晃平

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