2020.12.04
Data of DataScientest シリーズ vol.10『89%-増員するデータサイエンティストに「俯瞰的にデータ活用の戦略を考えられる」スキルを求める企業』
データサイエンティスト協会では、一般(個人)会員向けや国内企業を対象としたアンケート調査を実施しています。今回は、データサイエンティストを増員予定の企業が求める人材像を考察します。
2019年の企業向けアンケートで、今後3年間でデータサイエンティストを1人以上増員すると答えた企業は、243社中88社ありました。(P25)これらの企業が増員したい人材に求めるスキルとして、特に多い回答が「複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材(89%)」、「データによるビジネス課題解決を得意とする人材(88%)」の2つでした。企業側から見ると、データサイエンティストに求めるのは、単なるデータ分析スキルに留まらず、実ビジネスにおける課題解決に資する能力であることが分かります。データサイエンスを自社ビジネスに応用し、経済的価値を生み出せる能力が求められていると言えます。
一方で、業種別にみると違いも見えてきます。(P26)同じ設問を、特に他業種との違いが大きかった「情報処理業(n=26)」を取り出し、「全体(n=88)」との差分の大きい順に並べると順序がおおよそ逆になります。相対的にみて「情報処理業」においては、「データのハンドリングを得意とする人材(エンジニア)【+21ポイント】」「データを使ったサービスを開発する人材【+13ポイント】」など、より具体的なデータ処理や、サービスを直接開発できるスキルが、他の業種より求められています。
つまり、これからデータサイエンティストを目指す方が、企業から求められる人材になるには大きく2つの方向性がありそうです。1つ目として、既に事業会社において、特定のドメインの知識に詳しい方は、データサイエンススキルを身に付けることで、その業種に特化したビジネス課題解決を得意とするデータサイエンティストになることが期待されます。もう1つ目として、現在システムエンジニアなどのIT開発業務に従事されている方は、データサイエンススキルを身に付けることで、エンジニアリング力を強みとした実装力の高いデータサイエンティストになることが期待されます。
もちろんデータサイエンティストには様々なキャリアパスがありますが、データサイエンティストを志す方が、過去の自らの経験・強みをどう活かせば企業に求められる人材となるか、考える際のヒントとなれば幸いです。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社野村総合研究所 田村初
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